組織のルールとスキルを学ぶ病院内の教育・研修

病院は専門職の集合体という特性から、一般企業に比べて職員の定着率が低いという問題を抱えています。採用コスト、教育研修コスト等の投資を考えると、3年程度で退職されてしまうと経営的にも大きな損失となります。そうした事態を防ぐために、各職員が長期間働きたいと思うような対策が求められ、その一つが研修・教育の充実と考えられてます。

院内研修で人材育成

また専門職では中途採用が多く、病院の理念やビジョンに対する理解が不足していると、優れたスキルを持っていても十分に職場で生かすことができないという状況に陥りやすくなります。院内教育・研修にはスキルを学ぶだけではなく、その組織のルールを学ぶという意味もあります。

病院で行われる、代表的な教育訓練処方の一つにOJT(On the Job Training)があります。これは上肢や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・態度などを意図的、計画的に指導し、習得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成するものです。

病院のスタッフの中でも特に看護師は経験が重要視される職種でもあり、転職により中途採用で就職するケースも多くなっています。しかし同じ看護師という職種でも、どの程度チーム医療が行われているかなどによって、行うべき仕事は全然違うという場合もあります。そのため、具体的な仕事を通して学ぶOJTの果たす役割は大きくなっています。

新卒の看護師に対しては、卒後研修が2010年より努力義務化され、厚生労働省より「新人看護職員研修ガイドライン」も示されています。これにより新人に対しては一定の研修が保障されると考えると、中途採用者への教育・研修を充実させることが看護師に選ばれる病院となるためには重要となり、そこで行われるOJTの質が問われることになります。