海外に比べて治験期間が長く、承認が遅れる日本の医薬品事情
最近のNHKの朝の番組(あさイチ)は、夫婦生活のないいわゆるセックスレスの特集を組んだり、これまでとは違った切り口の特集が組まれることが多くなりましたが、今日やっていたのは海外で承認されている薬が日本国内で使えない「ドラッグラグ」の問題でした。ゲストは国立がん研究センター中央病院の副院長さん。
新薬の開発を目的として、人における有効性や副作用を調べるための試験を治験といい、既に動物における試験において効果や安全性が確認されている薬が使用されます。製薬会社が開発した新薬を販売するためには厚生労働省による承認が必要ですが、治験で収集するデータはこの承認を受けるために欠かせません。
国民皆保険が整備されていないため、経済的な理由などから治験に積極的に参加する海外に比べて、「実験台」というイメージが未だに根強い日本では参加者が少なく、また審査プロセスも複雑なので、どうしても欧米諸国に比べると承認スピードが落ちてしまうというのが現状です。
番組では膵臓がんに対する抗がん剤の承認を待つ成人女性の患者さんと、生後まもなくADA欠損症という患者数が少ない病気と闘う小学生が登場していました。ADA欠損症の薬はドラッグラグ以前に日本では治験が行われる予定すらない状況だそうです。患者数が少ないと巨額の開発費用をペイできないという理由から、薬の開発が行われない「オーファンドラッグ」の問題は深刻です。